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神社の御利益

参拝者からこのお宮は何の神様ですか、とよく聞かれます。その質問の本意は御祭神のことでもなく、神社の由緒でもなく、ここの神様はどんなことに御利益効き目があるのか知りたいと言うことのようです。世間的によく言われている学問の神や交通安全の神、安産、厄払いなど…、あれに効くこれに効くと言う答えを期待されての質問です。

神社に何の御利益があるなど、どこでもそんなことを言い出したのは戦後のことであり、マスコミの宣伝によるところのようです。実際のところそんな質問されると、当社では国防の神、武人の神、安産の神、厄除けの神、または氏子守護の神と答えても当を得ない気もするので、説明に苦慮します。

日本人が神様の本質について判らなくなったのは、戦後GHQが「日本人の再教育」と呼ぶ教育政策と宗教政策を行ったからです。その占領政策としてGHQは「教育四大指令」とされる「日本教育制度に対する管理政策」「教職追放令」「神道指令」「修身、日本歴史及び地理に関する件」を二ヶ月間の内に出しました。

それで、国の成り立ちの伝承を始め神道的なことや歴史教育について大きな制限がされ、そこに唯物史観を持ち込んだ偏向教育が行われました。教育の場では日本の伝統的な倫理観、価値観、心情までもが歪められ、日本人の精神はアメリカに都合のよいように大きく変化させられました。

《アジア・アフリカで当時四百年研究され培われた植民地政策(収奪と奴隷化)・これによってすべての有色人種を管理下に置く予定でした》

そして、日本人が本来持っていた神様に対する畏敬の念が判らなくなりました。日本人は神を自分の命の元と考え、神と人とは共に生活をしているとして暮らしてました。神様は生き物の命をはぐくむ自然を体として顕されます。そして、神様の働きを「むすひ」と言い、天地・万物を生成・発展・完成させる霊的な働き(生成化育)と理解していたのです。

私どもがお祈り御祈願をするときは、日常生活はすべて神のお働きの中にあることですから、命を否定することでなければ何をお願いし、何を頼んでもよいのです。しかし、その前に自分が生きて活かされている自然、土地、国、地球、宇宙は「神のお体」であります。その神様に感謝することがまず始めにすべきことです。そして、人の事を最も身近にお守りいただくのが氏神とも産土とも呼ばれる土地神様です。

一般的に人々が求める神様の御利益は二次的なもので、人はすでに神様より命と生きる場所を与えられていますから、個人的なことを祈りお願いすることよりも、神様のお働きに感謝申し上げ、そのご発展をお祈りすることが第一とされてきました。神様を祀り祈ることで神より世の平安がもたらされ、それによって個人の幸せが実現されると祈ってきたわけです。

神社の霊的本質は天御中主神から八百万すべての神々に備わる生成化育のムスビの神気を祀ることで、その神気に触れ世の平安と発展を得ることです。神社はそのムスビの神気を保つ為に清浄さを尊ぶ空間として守られているのです。

そこで、神社の御利益を問う人が居たならば、そして正しい誠の神を問うてあるのであれば、命を活かし続けるムスビの働きこそが御利益だとお答え下さい。

昔の奥ゆかしい日本人はこんな小理屈や小生意気なことは言いません、「何事のおはしますかは知れねども、かたじけなさに涙こぼるる」と…西行さんのおしゃっりようが奥床しいですね。

人はご託を言う前に、ありがたさに涙こぼれる心境にさせて頂くことが一番の御利益を受ける手立てだと知って頂ければ幸いです。それには神を祀り、ご先祖に手を合わせる心が何より大切とされましょう。

※(天御中主神は惑星の運行を始め、自然の命を育む働きを司る神・ご託を言うとは神の託宣を受けることが由来とされいる)