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神社と寺

御参拝の方で神社と寺との区別がつかないと言われる方がおられます。そして神道と仏教の区別もついていない方が多いようです。

神社とお寺は神仏習合し始めてから千年以上たっており、お寺の守護神、鎮守神としてとして興福寺=春日大社、延暦寺=日吉大社、金剛峯寺=丹生神社、東寺=伏見稲荷、東大寺=宇佐八幡(手向山八幡宮)をはじめ多くの神社に神宮寺が建てられ、お寺の元に神社が建てられました。

特に江戸時代は政府が仏教を国教としたため、すべての人がお寺の檀家として出生届を出し身分を保障され、亡くなるとお寺に届け葬式を出す仕組みになっており、仏式以外の葬儀は禁止されていました。江戸時代は檀家制度の下お寺に特権が与えられ、多くの神社(規模の大きな神社)がお寺の管理下に置かれていました。明治の神仏分離令の後は政府が神道を中心とした国家観を構築しようとしたので、多くお寺が神社になり、僧侶から神主になる者が多数出て現代に至っています。 

神仏習合の名残で鳥居やお社を置き神様を祀ってあるお寺もあります。また、仏様を神様として神社様式で祀ってあるお寺があったりと、実際に神社とお寺の区別はつきにくいものです。明治以前は神仏習合しており、現代よりさらに神社とお寺の区別がつかない状態ではなかったかと思われます。 

見た目の外観の違いを申し上げますと。鎮守の杜という言葉があるとおり、お社の周囲には自然な状態の森があるものです。そして建造物で言うと神社は鳥居や注連縄が有り、お寺には門があります。屋根では神社は千木・鰹木が有り、檜皮葺もしくは茅葺き、板葺き、銅板葺きなど…。瓦葺きはお寺。材料は神社が檜を使う。また、神社は壁が無く柱と屋根であったり、壁の代わりに建具が使われているなどは神社の特徴と言えるかもしれません。さらに屋根の丸みやそりの付け方などでも神社風、お寺ぽいなどと感じられます。

後は鐘があるか、墓地や納骨堂があるかなど…。神社では死者は祀らないので境内には墓地や納骨堂は作らないことになっています。神社の建物も伊勢神宮の唯一神明作り以外は中国から来た宮廷建築から発展しており、寺院とさほど違いがなく区別しがたくなっています。まだ他にも違いはあると思いますが、これさえも絶対的なことではなく区別の一つの目安としかならないようです。

神社を見慣れると遠目にも近めでも森と木々の雰囲気(緑が美しく明るかったり、透明感があり)が周りの森や山の感じと異なりそれとなく解るものです。お寺や墓所は魄の気があり、お寺や墓所から神社になったところも気の違いが感じられます。

神社仏閣を問わず、お祀りになってある御祭神、ご本尊、御霊の違いによって同じ境内であっても雰囲気は変わります。その雰囲気を感じ取るには敬虔で真剣な祈りを日々行うことが必要になります。神社もお寺も見えざる神仏先祖に出会うところですから、その雰囲気を穢さぬように大切に守っていきたいものです。