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(ヘ)「うしみつ」

○ うしみつは よき時なるぞ 神集ひ
神ごと習ふ 神業が立つ    (九六八)

子の刻といえば夜十一時から午前一時まで、そして丑の刻といえば午前一時から午前三時までの時間帯であり、昔はそれを四つや八つに分けたりする時法があって、その丑の第三刻がいわゆる「丑三つ」であり、今の午前二時から二時半頃に当たる。「草木も眠る丑三つ時」とか「丑の刻参」「丑の時参」などといったことがよく言われるが、この時間は誰もが安心しきってグッスリ休んでいる時であり、また油断している時でもある。誰にとっても心の落ち着く非常に静かな時間であり、また精神集中のし易い時でもある。そのため、昔は「丑の刻参り」といって人を呪い殺すなどといった愚かな行為があったのであろう。

昔は夜がその日一日の始まりであったように、一般に夜は霊的なものが目覚めるというか、活発になる頃であり、また妖魅や邪霊などのよからぬものも活動的になるものである。しかし、この『御神歌集』に出てくる「うしみつ」という場合は「深夜」と理解しておかれればよいであろう。

一般的には「丑三つ時には邪霊が跳梁跋扈する時間であるから、この時間は滝には決して入るな」と厳しく戒める人もある。
『御神歌集』ではうしみつは「神の息吹きが身に入る良い時である」と牟田耕蔵氏に教えておられるのであるが、神の特別の使命を持って修行させられている牟田氏ならばこそであって、やはり一般の方々には余程の事情でもない限り、この時刻のお参りは決してお勧め出来ることではない。

夜もすぎて うしみつ時の 頃なれば
神の息吹きが 強く通ふぞ (二三六)

うしみつに 祈る氏子は 幸せよ
神集まりし 息吹身に入る (九六九)

○草木だに 眠ると云へる うしみつの
時こそ神の 息吹き身に入る (二七六)

○夜もすがら 見守る神の ありと知れ
などうしみつの 頃を思はむ (一九一一)

なかぞらに 神の声々 さやかにぞ
聴こゆる時は うしみつの頃 (一九一三)